私が最初に入った会社での仕事は、セールスでした。
説明が理屈っぽくなりがちな私。
当時の先輩社員からは、よくこんなことを言われました。
「理屈で商品の良さを説明しても、相手は「欲しい」とは思ってくれないよ。
その商品を使って得られるメリットをイメージさせて、感情を動かさなければだめなんだ。」
そこで、メリットをイメージしてもらう工夫をした結果、売れるようになりました・・・
となれば良かったのですが、残念ながら、そう簡単にはいきませんでした。
ようやく売れるようになったのは、あることに気づいてからでした。
モノを買うときに人が考えていること
これも、私がセールスの仕事をしていたころのお話。
ちょっとおなかの肉が気になってダイエットしていたことがあります。
そのときは、いつも昼ご飯を軽めにしていました。
ある日、同僚と一緒に食べに行くことになり、会社の近くのラーメン屋さんに行きました。
店に入ると、同僚は迷うことなく定番のラーメンチャーハンセットを頼みます。
それを聞いていた私は、
「いいな。自分も食べたいな。
思えば、ラーメンチャーハンセットをこの前に食べたのはいつだったか。
随分と食べてないな。」
私の心は、完全にラーメンチャーハンセットにとらわれてしまっています。
しかし一方で、こんな思いも頭に浮かびます。
「でも、そんなに食べたらあとで後悔しないだろうか。」
こんなとき、頭は食べることを正当化する理由を探し始めます。
「午前中、結構 体を動かしたから、今日はしっかり食べたほうがいいだろう。」
「ダイエット中だと知られると恥ずかしい。一日ぐらいならしっかり食べても大丈夫だろう。」
「自分だけ軽いものを食べてたら、同僚が気がねするんじゃないか。相手に合わせよう。」
などなど。
理由が見つかれば、気がねなく注文することができます。
あたなも欲しいものを買おうかどうか迷っているとき、買う”理由”を探した経験があるんじゃないでしょうか?
セールスにおける「感情」と「理屈」の役割とは
これをセールスに当てはめるとどうなるでしょうか。
理屈で説明してばかりでは、お客さんは「良いもの」とはわかってくれても「欲しい」とは思ってくれません。
冒頭の先輩の言葉の通り、「欲しい」と思ってもらえなければ売れません。
「いいものだとは思うけど・・・今は別にいいかな。」
こう言って断られてしまいます。
お客さんに「欲しい」と思ってもらうには、やはり感情を動かすことが必要です。
たとえば、
- その商品を使っているところを想像させる。
- 五感に訴える表現を使う。
- 実際に使って満足している人の声を聞かせる。
この他にも、相手の感情を動かすテクニックは、いくつもあります。
それらを使いこなぜば「欲しい」と思ってもらうことはできます。
しかし、最終的に買ってもらうには、「欲しい」と思ってもらうだけでは十分ではありません。
感情だけでは不十分なのです。
どれだけ「欲しい」と思わせても、買うかどうかを決める瞬間、お客さんの頭には、
「本当に買ってしまってよいのだろうか。」
「後悔しないだろうか。」
こんな疑問が浮かんできます。高額商品の場合は特にです。
この瞬間こそが「理屈」の出番です。
それを買うことが正しい決断だと納得できる理由を、お客さんは求めているのです。
たとえば、
- 今まで使っていたものよりも優れている。
- お金を節約できる。
- たくさんの人が選んでいる。
こういった理由を与えてあげないと、「もう少し検討してみます。」と言われて決断を先送りされてしまいます。
そして、その後、連絡が来ることはありません。
まとめ:人は感情で買い、理屈でそれを正当化する。
「欲しい」「買いたい」と思うのは、理屈ではなく感情の働きです。
ですので、セールスプロセスでは、感情に働きかけることが第一です。
しかし、人は「感情」で購入を決め、「理屈」でそれを正当化するものです。
「欲しい」と思ってもらえたならば、最後の仕上げが必要です。
お客さんが買うことを納得できるような理由を、あなたが与えてあげましょう。
この最後の仕上げは、理屈や論理の出番なのです。
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